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2023/10/20 21:52

●じゅんかん農法とは

じゅんかん農法とは、自然農法の一つのです。堆肥や下水道発酵堆肥に籾殻、米糠、乳酸菌発酵液を混ぜ合わせ、炭素比を調整して積み上げます。その後、ビニールを被せて1ヶ月間ほど置くと、中の温度が高温発酵により発酵が進んで、有用微生物群が大量に増殖し70ほどに達します。この高温によって、病原菌や雑草の種子などの有害物質が死滅します。

この過程で、乳酸菌や光合成細菌、放線菌、枯草菌、酵母などの有用微生物群が増殖します。これらの微生物は、堆肥に含まれる有機物を分解して、作物の栄養分となる有機態窒素を生成します。また、微生物の働きによって、土壌の団粒化が促進され、水はけや通気性が改善されます。

じゅんかん農法は、以下のような特徴があります。

  • 有用微生物群を大量に含むため、作物の根の発育を促進し、病害虫の発生を抑制する効果があります。
  • 有機態窒素を豊富に含むため、作物の生育を促進し作物の味や栄養価を向上させる効果があります。
  • 土壌の保水性や保肥性を高める効果があります。

じゅんかん農法は、化学肥料や農薬を一切使用しない自然農法の代表的な施肥方法です。土壌の微生物を活性化させて、作物に必要な栄養分を自然に供給する方法です。

じゅんかん農法のメリットは、以下のとおりです。

  • 化学肥料や農薬を一切使用しないため、環境に優しい
  • 土壌の微生物を活性化させるため、土壌の保水性や通気性が向上する
  • 作物の栄養バランスが整い、病害虫に強い作物が育つ

デメリットは、以下のとおりです。

  • 初期費用や手間がかかる場合がある
  • 有機質の堆肥を用意する必要がある

じゅんかん農法は、自然農法を実践したい人や、土壌環境を改善したい人におすすめの施肥方法です。

●有機態窒素が豊富に生成されるのは何故か

堆肥や下水道発酵堆肥などの有機物は、タンパク質や脂質、炭水化物などの栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素は、有用微生物群の餌となります。

乳酸菌や光合成細菌、放線菌などの有用微生物群は、有機物を分解する際に、アンモニアや硝酸などの窒素化合物を生成します。これらの窒素化合物は、作物の栄養分となる有機態窒素となります。窒素は、微生物によって分解されて初めて、作物が吸収できる形になります。

具体的には、以下のプロセスで有機態窒素が生成されます。

  1. 乳酸菌や光合成細菌、放線菌などの有用微生物群が、有機物を分解して、アンモニアや硝酸などの窒素化合物を生成する。
  2. アンモニアは、硝化菌によって硝酸に変化していく。
  3. 硝酸は、作物が吸収できる有機態窒素となる。

じゅんかん農法では、籾殻や米糠、乳酸菌発酵液などの炭素源を混ぜることで、有用微生物群の活動を促進します。炭素源は、有用微生物群のエネルギー源となります。このように、じゅんかん農法では、発酵によって有用微生物群が増殖し、作物の栄養分となる有機態窒素が豊富に生成されます。

じゅんかん農法における有用微生物群の役割をまとめます。

  • 乳酸菌:有機物を乳酸に分解し、窒素を固定しアミノ酸を生成する
  • 光合成細菌:有機物を炭酸ガスや水に分解し、光合成によって窒素を固定する
  • 放線菌:有機物を分解して、作物の栄養分となるアミノ酸や核酸を生成する
  • 酵母:有機物をアルコールや炭酸ガスに分解し、窒素を固定する
  • 枯草菌:有機物を分解して、作物の栄養分となるアミノ酸や核酸を生成する

 

また、ビニールを被せて発酵させることで、発酵の温度を高めることができます。高温は、有用微生物群の活動を促進するとともに、病原菌や雑草の種子などの有害物質を死滅させる効果があります。

このように、じゅんかん農法では、有用微生物群の活動を促進することで、作物の栄養分となる有機態窒素を豊富に生成することができます。

次回は、乳酸菌の重要性やキレート効果について報告したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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じゅんかん農法で生姜を作っています。 九州大学農学部農芸化学科を卒業し、佐賀県庁に35年間勤務したのち、2020年に就農した67歳の佐賀県が認定するエコファーマー。じゅんかん農法により、下水道資源や微生物、もみ殻などを使って堆肥を作り、栽培期間中無農薬・無化学肥料・無除草剤で生姜を栽培しています。 規格外や種生姜などの訳あり生姜も原料にして、シロップやソース、パウダー、プリン等スィーツなどの加工品も開発しております。